社会人の学び直しで最も人気のある分野といえば、やっぱり「外国語」!
実際、2015年度(平成27年度)の内閣府調査によれば、「機会があれば再び学び直したいと思うもの」という質問に対して、「外国語に関すること」を挙げる方の割合が最も高い結果となりました。
なかでも、「女性」や「20歳代から40歳代」の方は「外国語に関すること」を学びたいという関心が強いようです。
4.社会人の学び直しについて
(1) 学び直したい学習の内容
引用元:世論調査(内閣府) 世論調査 > 平成27年度 > 教育・生涯学習に関する世論調査 > 2 調査結果の概要
機会があれば再び学びたいと思うものはあるか聞いたところ,「外国語に関すること」を挙げた者の割合が31.3%と最も高く,以下,「医療や福祉(保育,介護など)に関すること」(27.0%),「日本や世界の歴史・地理に関すること」(26.6%)などの順となっている。なお,「特にない」と答えた者の割合が18.3%となっている。(複数回答,上位3項目)
都市規模別に見ると,「日本や世界の歴史・地理に関すること」を挙げた者の割合は中都市で高くなっている。
性別に見ると,「外国語に関すること」,「医療や福祉(保育,介護など)に関すること」を挙げた者の割合は女性で,「日本や世界の歴史・地理に関すること」を挙げた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「外国語に関すること」を挙げた者の割合は20歳代から40歳代で,「医療や福祉(保育,介護など)に関すること」を挙げた者の割合は30歳代,50歳代で,「日本や世界の歴史・地理に関すること」を挙げた者の割合は40歳代で,それぞれ高くなっている。
そんな「外国語」のなかでも不動の人気を保っているのが「英語」。しかし、なかなか上達を実感できず悩みの沼にハマりがちなのも「英語」なのではないでしょうか?
今回は、認知科学の視点から語学の学習法を提示する一冊をご紹介します。初出は2018年度のNHKラジオ講座「入門ビジネス英語」のテキストに1年間連載されたエッセイで、このエッセイを再編成・大幅加筆して出版されました。
2021年に出版されるとたちまちベストセラーとして店頭に並んだため、本書のタイトルをご存じの方も多いことと思います。
本記事では、社会人になって英語学び直し歴2年半(2020年1月~)の私、山椒が「タメになるな~」と感じた点について言及していこうと思います!
こんな方にオススメ
- 学生時代に英語で挫折したけどやり直したい
- 大人になって英語をコツコツ勉強しているけど、伸び悩んでいる
- 英語をより深く学びたい
多聴だけでは聴き取れるようにはならない
私はリスニング強化を目的として、NHK WORLD-JAPANを毎朝聴いています。
こちら、英語学習者にとってはよく知られていて、NHKが世界の現在を伝えてくれるとても良い番組なのですが、自身の語学力が足りず何を言っているのか理解できない時があり…。
幸い、NHK WORLD-JAPANは日本の国営放送が流すニュース番組ですから、日本の各メディアで報道されている内容を見聞きしていれば、そうした知識がヒントとなって理解できることも多いです。しかし、正確に理解できない状態では、次のステップアップにはほど遠いなと感じていたのですよね。
そんなときに目にしたのが以下の記載。
自然なスピードで話され、中身がある内容を聴きたいが、語彙が足りなくて聴き取れない。そういうことが頻繁にある。そのような場合にはどうしたらよいか。リスニングに時間を使うより、まず語彙を強化することと、その分野の記事や論文を読んで、その分野のスキーマを身につけることに時間を使ったほうがよい。語彙が豊富にあり、スキーマが働くトピックなら、そしてそしてーーここが大事なのだがーー自分が絶対に理解したいと思う内容であればーー少し耳が慣れれば英語はおのずと聴こえるようになる。
引用元:今井むつみ『英語独習法』(岩波書店)
「なるほど、私にとっていま最も必要なのはニュース記事を読んで語彙力を強化することなのだ!」とハッとしました。
実は、NHKラジオ講座で「ニュースで学ぶ現代英語」という講座もときおり聴いているのですが、なんとこの講座では、NHK WORLD-JAPANで実際に使われた1分ほどのニュースを1日1テーマ取り上げ、放送時のニュース全文を公式サイトに無料公開しています。もちろん日常会話で耳にしないであろう、固めの英単語も取り上げて解説。
仕事などで忙しく毎日は聴けていないというのが現状ですが、「この講座に真剣に取り組み、ニュース英語の語彙力を増やせばリアルタイムで聴き取れることが増えるかも!?気持ちを新たに取り組もう!」と背筋が伸びる思いでした。
音声以外の情報を含む映像メディアを活用しよう
もう一点、聴き取れるようになるためには語彙力の強化が必要ですが、音声のみでその内容を理解するのではなく映像情報を活用するのが良い、という指摘がありました。
もう一つ大事なことは、聴き取りが苦手だと思ったらマルチモーダルな状況ーーつまり、音声以外に視覚情報もあり、内容についてのヒントを与えてくれる映像メディアを練習に使うことである。また、聴き取れなかった部分をスキーマで補えるような教材がよい。たとえば、自分の好きな映画はリスニング学習のとてもよい材料になる。スポーツが好きなら、スポーツの中継もよいし、料理が好きなら英語で放送されている海外の料理番組もよい。
引用元:今井むつみ『英語独習法』(岩波書店)
この指摘は私自身、納得のできるものでした。というのも、YouTubeですでにその効果を実感していたからです。
米津玄師さんやYOASOBIさん、Adoさんなど「最近のJ-POPはスゴいな~」と私は日々感じておりまして、YouTubeで毎日のように夜な夜なミュージックビデオを再生しています。そんなある日、突如海外YouTuberのJ-POPリアクション動画がオススメとして表示されるようになりました。もちろん即押しで海外の反応をチェックする私。
ある時、YouTuberの方が満面の笑顔で「Sick!」と言いました。「え、病気?ほめてるの?けなしてるの?」と気になりググってみると、その意は「最高、すげーぜ」!スラングのようで、こうした用法を初めて知り、かなり驚きました。
最近の若者が生み出した新しい使い方のようですが、「英単語を聴き取れても理解できないことがあるんだ!」とかなり強烈に印象に残った出来事で、以来感激したときに「Sick!」という言葉が浮かぶようになったのです。
再生回数が多いYouTuberだと英語や日本語の字幕が用意されていることも多く、目でも耳でも発言内容がチェックできるので、音楽好きの方にはオススメの学習方法ではないかと思います。
スピーキングvsライティング
最後に、オンライン英会話などスピーキング重視に転換しつつある現在の学習方法について。著者によれば、初期にはライティングの練習をこなす方が効果的、とのことです。
そのためには、リアルタイムでどんどん進んでしまうスピーキングより、オフラインで注意を向け、吟味することができる、ライティングの練習をするべきだ。アウトプットの練習は必要だが、日本語スキーマの語彙や文法を適用していることに気づかないままで、いくら話す練習、書く練習を重ねても、英語スキーマは身につかないし、英語として自然な(通じる)アウトプットはできない。最初のうちは、熟読・熟見・熟書で語彙を育て、英語スキーマを身につけることを学習の最大の目標にするべきだ。
ライティングが自由にできるようになれば、スピーキングは短期間の集中的な練習で上達する。
引用元:今井むつみ『英語独習法』(岩波書店)
私は『ネイティブキャンプ』と『EF English Live』という2種類のオンライン英会話サービスを数ヶ月実践したことがあります。「自宅にWi-Fi環境が無かったためオンライン受講が難しくなった」というだけでその後の利用継続をあきらめたのですが、今でも大変価値のある英会話学習教材だったと記憶しています。
ただ、たしかに学びはじめの段階ではオンライン英会話を一生懸命こなしても、講師やほかの受講者(EF English Liveではグループレッスンもあります!)が話していることが分からないことがあり、「自分の文法は合っているかな?」「相手にちゃんと伝わっているかな?」という不安を抱くことがあったのは事実です。
本書の指摘をふまえると、オンライン英会話を活用するみなさんには、下記のような工夫を取り入れることでさらに学習効果を高めることができるはず。日々の学習の改善点として、是非ご検討くださいませ♪
- 事前に「自己紹介」「昨日あったこと」「趣味」などをテーマに英作文を作り、講師とのレッスン時に添削してもらう
- レッスン時の発言で文法上の誤りがあれば、チャットで正しい文章に直したものを教えてもらう
ちなみに、私が活用したことのあるオンライン英会話サービスの良いところをざっくり説明するとこんな感じです。
ネイティブキャンプ
レッスンし放題で有名なネイティブキャンプ。フィリピン人の講師の方が多く、明るく楽しいレッスンばかりでした。時間が空いたときに「今すぐレッスン」でき、5分などの短時間でのレッスンも可能です。これがとても良い。
在宅勤務の方は、「始業前に10分時間の余裕ができたから会話する」「お昼休みに5分だけ会話する」といった柔軟な使い方が可能です。専用アプリもサクサク動いてとても使いやすい。人気なのも頷けます。
EF English Live
EF English Liveは英語を母国語とする方のみが講師を担当してくれます。講師は知的な雰囲気のある方が多く、アメリカ、イギリス、南アフリカなどの出身の方が多いです。個人レッスンとグループレッスンの両方の参加で語学力を高めます。
グループレッスンでは他の参加者の方の発音を聞くことができるのも勉強になりますが、何よりその発言内容に驚くことがしばしば。各国の英語教育の基本だったり(中国の方は「That’s all.」で会話を終了することが多かった)、地理的・文化的な違いを垣間見ることができました(南米の方は休日に「ビーチに行く」という答えが多い、など)。
また、EF English Liveでは英作文問題の添削もしてもらえるのですが、名詞の可算・不可算、前置詞など細かな指摘をいただけたのは、とても良かったです!オンライン英会話を最大限活用する方法として、ライティングに逃げずに取り組むとよいでしょう。
関連書籍
- 新井リオ『英語日記BOY 海外で夢を叶える英語勉強法』(左右社):ベストセラーとなった本書。オンライン英会話の活用法だけでなく、発音矯正などの学習方法も参考になることでしょう。
- 読書猿『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』(ダイヤモンド社):独学者のバイブルとして手元に置いておきたい一冊。本サイトでも別記事で紹介していますので、宜しければ併せてご参照ください。
最後までお読みいただき有り難うございました!
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