皆さんは、モキュメンタリー(Mockumentary)というジャンルをご存じでしょうか? モキュメンタリーとは英語の「Mock(擬似・模造)」と「Documentary(実録)」を組み合わせた造語で、フィクションをドキュメンタリー映像のように見せかけて演出する表現手法のことです。
2020年代に入ってから、日本ではモキュメンタリーの小説がたくさんヒットしています。『変な家』『変な家2』を著した雨穴さんや、『近畿地方のある場所について』『穢れた聖地巡礼について』を著した背筋さんが代表的な作家さんです。
今回は、コミカライズ化に映画化にと全国にその名を広く知らしめた雨穴さんの代表作『変な家』をご紹介します!
こんな方にオススメ
- 読書にあまり慣れていない
- 話題作が読みたい
- 世界観にハマりたい
著者の雨穴さんと私の出会い
雨穴さんは、ウェブメディア「オモコロ」で活躍しているライターさん。『変な家』の初出はこの「オモコロ」内に投稿された記事です。ただ、ライター業だけでなくYouTuberとしても活動されていて、実は本作『変な家』もYouTubeで公開されています。
↓オモコロに掲載された『変な家』はこちら
↓YouTubeでの動画(初出版)はこちら
そんな作品が活字化され、コミカライズ化され、さらには映画化までされるなんて驚きですよね。
しかし、私が雨穴さんの作品を初めて目にしたのは『変な家』ではなく、オモコロに掲載された『変なAI』という記事です。当時はモキュメンタリーという手法のことを知らなかったので、書かれた内容にはリアリティがあるものの、実際にあった出来事なのか…フィクションなのか…、混乱しながら読みました。
事実か否かを検証するのも一興ですが、まず驚くべきはその構成力です。

えぇ~…! そ、そういうこと…!?
という驚きの展開が畳みかけるように続き、ノンストップで読みふけってしまったのでした。
こちらからどなたでも無料で読めます。雨穴さんの『変な家』という作品が気になる方は、『変なAI』も読んでみてください!
↓オモコロに掲載された『変なAI』はこちら
変な「家」ってどんなところが変なのか?
本作品の目次はこちらです。
第一章 変な家
第二章 いびつな間取り図
第三章 記憶の中の間取り
第四章 縛られた家
さまざまな広告を通して本作を知った方は、「間取りを巡るミステリー作品」という印象が強いことでしょう。私もそうでした。そうです、見れば見るほど不思議な間取りが登場するのです。
第一章から第三章の各章で、それぞれ一つずつ不思議な間取りが登場します。そう、ここで登場する変な「家」は、物理的な構造としての間取りを意味しています。
が、しかし、第四章に登場する縛られた「家」は、間取りという意味での「家」とは少し趣が異なるのです…! それもあってか、ここでは新たな間取りは登場しません。
以下は本書の冒頭部分です。まさしく、「あまりに恐ろしく、決して信じたくない事実」が最後に待っているのです。
これは、ある家の間取りである。
あなたは、この家の異常さが分かるだろうか。
おそらく、一見しただけでは、ごくありふれた民家に見えるだろう。しかし、注意深くすみずみまで見ると、家中そこかしこに、奇妙な違和感が存在することに気づく。その違和感が重なり、やがて一つの「事実」に結びつく。それはあまりに恐ろしく、決して信じたくない事実である。
引用元:雨穴『変な家』(飛鳥新社)
本作品のお楽しみポイントを3つご紹介!
その1:間取り図付きで、しかも会話形式での文章なので理解しやすい
すでに述べたとおり、この作品では間取り図が登場します。この間取り図は、どこかのページにひとまとめにして掲載されているのではなく、登場人物たちの推理に合わせて何度も登場します。たとえば、特定の部分を拡大してみたり、重ねてみたり、立体的に図示してみたり。書き直してみたりもします。
そして、話は主に「オカルト専門のフリーライター」として活動しているという「筆者」と知人、キーパーソンたちとの会話形式で進んでいきます。活字に慣れていない方にとっては、これがめちゃくちゃ読みやすい。最近、LINE風のウェブ小説が増えてきましたが、やっぱり会話ベースの方が頭の中に話がスルスルと入ってくるのでしょうね。
こういった点が、従来の伝統的な推理小説と決定的に異なる点です。ウェブメディアならではの読みやすい構成で、雨穴さんのライターとしてのキャリアが光っています。
その2:話が思わぬ方向に展開していく
図と会話形式でテンポよく読み進めていくと、話がどんどんと思わぬ方向に展開していきます。一冊すべてを読み切るのにそんなに時間はかからないのに、それでも何度も急展開が訪れ、謎が謎を呼びます。この刺激的な展開が、一気読みを誘うのです…!
しかも、どんどんと恐ろしい方向に話が展開していきます。夜中に一人読んでいるとちょっと刺激的かもしれないので、通学時間や通勤時間に読み進めるというのがよいかもしれません。私は、最後はどんな結末になるのだろう…とヒヤヒヤしてしまって、就寝前に読み終えるという計画を取りやめて、翌日の電車通勤時に読み終えるという方針へ変更したほどです(^^;)
その3:登場人物たちと一緒に、謎を読み解いていく
「オカルト専門のフリーライター」として活動しているという「筆者」を中心に、新しく登場した謎について考察を深め、コトの本質に迫っていきます。この「一緒に謎を解く」というのが没入感があってハマる一因となっているのではと思います。
本作では、以下のように筆者の驚きと読み手の驚きがシンクロする場面が多々あります。置いてけぼりにならずに読み進めていくことができ、本当にその世界に入り込んだような気分になっていきます。
筆者 え!?
引用元:雨穴『変な家』(飛鳥新社)
さいごに
さて、本記事では『変な家』という作品についてご紹介しました。さて、この本に書かれている内容が事実かどうか、是非あなたの目で実際に読み進めてみてくださいね。
関連書籍
- 雨穴『変な家2 〜11の間取り図〜』(飛鳥新社):『変な家』第2弾! 間取りミステリーよ、再び…! 「第17回オリコン年間“本”ランキング2024 オリコン年間BOOKランキング」「日販2024年年間ベストセラー総合」「トーハン2024年年間ベストセラー総合」の3種類で第1位と、かなり売れていました。
- 背筋『口に関するアンケート』(ポプラ社):「このホラーがすごい! 2025年版」で4位を受賞! たったの63ページとページ数も少なくすぐ読み終えることができますが、その破壊力は抜群です。お手頃価格でこんなにさくっと読めるのにめちゃ怖いというすごい作品。
- 背筋『近畿地方のある場所について』『文庫版 近畿地方のある場所について』(KADOKAWA):「このホラーがすごい! 2024年版」で1位を受賞! モキュメンタリーという言葉がだいぶ浸透してきた頃に登場したのがこちら。同じタイトルでありながらも、単行本版と文庫本版で内容が異なるという点でも興味深い。
- 背筋『穢れた聖地巡礼について』(KADOKAWA):『口に関するアンケート』『近畿地方のある場所について』を読んでその世界にハマった方はこちらも是非。背筋さんの近著です。
- 江戸川乱歩『100分間で楽しむ名作小説 人間椅子』(KADOKAWA):雨穴さんが影響を受けた日本の小説家は江戸川乱歩だそうです。江戸川乱歩は有名な作品がたくさんありますが、ここでは『人間椅子』を挙げておきます。
最後までお読みいただき有り難うございました!
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