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【書評】交流分析の元祖!TA入門書の「ギスギスした人間関係をまーるくする心理学」を読む

【書評】安部朋子『ギスギスした人間関係をまーるくする心理学―エリック・バーンのTA』(西日本出版社) 書評

家族や職場で「なんだかうまくいかないなぁ…」と思うことはありますか?その原因の一つに、人間関係の悩みがあるかもしれません。特に、互いの間にギスギスした関係が生まれているなら、何をやっても満足のいく結果は出にくいといえるでしょう。

こうした、多かれ少なかれ存在する人間関係のいざこざ。解決方法のヒントを得ることができるのが、今回ご紹介する『ギスギスした人間関係をまーるくする心理学』です。

日本人として初めてTA(Transactional Analysis)の有資格者となった著者の安部朋子氏による本書は、主にカウンセリングの勉強をしている方にとって学びの多い一冊です。ただ、そうでない方にとっても「考え方の道具」として参考になる点が多々ありました。

人生を豊かにするヒントが詰まっています。さっそく見ていきましょう!

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こんな方にオススメ

  • カウンセリングを勉強している方
  • 人間関係がうまくいっていない方
  • 人生を豊かにしたい方

TA(Transactional Analysis)とは?

さて、そもそもTA(Transactional Analysis)とは何なのでしょうか?

 TAは精神科医エリック・バーン(Eric Berne、1910-1970)博士が創始したパーソナリティ理論です。個人が成長、変化するためのシステマティックな心理療法の一つであると、国際TA協会では定義しています。
 TAは、それまでの多くの心理学とは異なり、私達人間の複雑な反応や機能を図式化(ダイヤグラム化)したことで理解しやすくし、多くの一般人を心理学に引きつける働きをしたと言われています。

引用元:安部朋子『ギスギスした人間関係をまーるくする心理学―エリック・バーンのTA』(西日本出版社)

日本では交流分析が広く知られています。カウンセリングを学んだことがある方は聞いたことがあるかもしれません。著者によれば、この交流分析とTAは異なるものとのこと。TAはエリック・バーン博士が創始した理論ですが、交流分析はこのTAに東洋的哲理を加味したものだそうです。

本書は、元祖TAを学ぶ2日間のセミナー「TA101コース」を書籍化したものです。受講の時間がなかなか作れない方は、まず本書をお読みいただくとイメージが湧いて良いかと思います。

セミナー情報はこちらです↓

さて、TAには「TAの哲学」と称する3つの基本的な考え方があります。

 TAの根底には、次の3つの考えがあります。
 ① 人は誰でもOKである。
 ② 誰もが考える能力を持つ。
 ③ 自分が自分の運命を決め、その決定を変更することができる。

引用元:安部朋子『ギスギスした人間関係をまーるくする心理学―エリック・バーンのTA』(西日本出版社)

どれも大切な考え方ですが、最も意識したいのは「③ 自分が自分の運命を決め、その決定を変更することができる。」です。本書では、自律性を高めるという観点で基本用語が解説されています。

そうです!自分の人生は自分で決めることができるのです!

自我状態構造モデルと自我状態機能モデル

TAで最も有名な基本理念は、自我状態構造モデルでしょう。これは、一人の人間のなかに次のようなP・A・Cの3つのパートが存在するという考え方です。

P(Parent:親)
A(Adult:成人)
C(Child:子ども)

3つのパートはさらに細かく分けることができます。これが自我状態機能モデルです。

CP(Critical Parent:批判的親)
NP(Nurturing Parent:養育的親)
A(Adult:成人)
AC(Adapted Child:従順な順応の子ども)
RC(Rebellious Adapted Child:反抗の子ども)※ACに含むこともある
NC(Natural Child:自然の子ども)

そして、どの要素が表出する度合いが強いか、ということを棒グラフで示したものがエゴグラム。ここまではよく知っている、という方もたくさんいらっしゃることでしょう。それだけよく知られた概念であり、かつ理論として理解しやすい内容ですよね。

本書を読みながら、私はあらためて自分のエゴグラムを書いてみたり、家族や知人・友人のエゴグラムを考えてみたりしました。人それぞれ個性が見えてきて面白かったです!

新たな気付きは、人それぞれエゴグラムは絶えず変化しているということでした。自分のエゴグラムはこれまで何度も作成してきたのですが、作成時に抱えていた悩みや仕事の状況、人間関係の変化によって、若干の違いが見られたのです。

さらに気付いたのは、私が「魅力的だな~」と感じる相手は、自分にとって表出度が少ない要素を持つ人々でした。私の場合は、自分に足りない部分を持っている人に敬意を抱いたり、好意を抱く傾向があるようです。こうした気付きは、人間関係を育むうえで今後参考になりそうです。

ドライバー

本書で心に強く残った概念は、「ドライバー」というものです。

 私達が何らかのストレス状況下で、その出来事に対処しようとした時、自動的、反射的、無意識にとる行動があります。また、以前自分の両親が子どもだった私達に対して期待した行動でもあります。それらの行動を5つに分別し、【ドライバー】と呼びました。

引用元:安部朋子『ギスギスした人間関係をまーるくする心理学―エリック・バーンのTA』(西日本出版社)

ドライバーは5つあります。プレゼンで緊張している場面や、初めて顔を合わせた誰かとの会話中という状況を思い浮かべて、自分だったらどのような行動をとるか考えてみましょう。

① 完全であれ・・・・・・・きちんとちゃんと
② 努力せよ・・・・・・・・一生懸命
③ 人を喜ばせよ・・・・・・人の反応(ウケ)が気になる
④ 強くあれ・・・・・・・・我慢・ポーカーフェイス
⑤ 急げ・・・・・・・・・・さっさと・早く

先日、電車内にて大きな声で怒りを露わにしながら早足で歩いている女性を見かけました。スマートフォンで電話をかけながら、会話中の相手を強く責めているようでした。事情は判然としませんでしたが、どうも相手の方が1本遅い電車に乗車してしまったようで、「なぜ行動が遅いのか」となじっているようでした。

この方のドライバーは「⑤ 急げ」なのかもしれません。この女性と同様の指摘をよくしている知人の行動を思い浮かべながら、「人それぞれのドライバーがあるのだな」と考えさせられる瞬間でした。

もちろん、私にも5つのドライバーのうちいくつか思い当たる節がありました。こうしたドライバーに対して、「そうじゃなくてもいいんだよ」と自分に語りかけてあげることで、人生が豊かになります。日常的に意識していこうと思います!

関連書籍

  • 安部朋子『ギスギスした人間関係をまーるくする心理学2: エリック・バーンのTA 上級編』(西日本出版社):今回ご紹介した書籍の続編です。こちらは上級編で、さらに学びを深めたい方向けです。

  • 安部朋子『エリック・バーンのTA組織論: リーダーを育てる心理学』(西日本出版社):こちらは活用編で、組織論の観点でまとめられています。

最後までお読みいただき有り難うございました!


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