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【書評】宿題・受験・英語…すべての学習者に捧ぐ独学者のバイブル!「独学大全」を読む

【書評】読書猿『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』(ダイヤモンド社) 書評

「鈍器本」と評される本があるのを知っていますか?

鈍器本

読み方:どんきぼん

凶器として使えそうに思えてしまうほど重厚感がある分厚くて重い書籍、を指す意味で用いられる俗な言い方。鈍器のような本。おおむね「非常に読み応えがある」というポジティブな意味を込めて用いられる。

引用元:Weblio辞書 > 辞書・百科事典 > 日本語表現辞典 > 鈍器本の意味・解説

「鈍器本」とは、「凶器として使えそうに思えてしまうほど重厚感がある分厚くて重い書籍」のこと。そして、今回ご紹介するのはまさしくこの「鈍器本」。なんと総ページ数は752ページ(索引を除く)です!

持ち運びには難がありますが、学生さんも社会人も手元に是非一冊置いておきたい良書です。血となり肉となる知見に溢れた内容とこのボリュームの割には、2,800円(税抜)と価格設定が良心的である点も見逃せません!

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こんな方にオススメ

  • 勉強の習慣がなかなか身につかない学生の方
  • 自分の無知を自覚しながらも、独学の進め方が分からない方
  • 学校で出された調べものの課題に困っている方
  • 独学に何度も挑戦し、挫折経験のある方

本書を手に取ったきっかけ

かなりのベストセラーとなっていた本書。私がこの本に最も引きつけられたのは、その知名度だけでなく「独学者のために書かれた本である」という事実です。

実は、私はフルタイムで働きながら日々独学に勤しんでおり、読書は5年以上、英会話は2年以上の学習を続けている状況でした。しかし、多少は前進している気がするものの、進歩している気がしない…。

わたし
わたし

いつになったら世の中で起きていることをもっと深く理解できるようになるの…?

いつになったらもっと自由に日本語から英語へ変換できるの…?

端的に言えば、何かしらの打開策が欲しかったのです。

本書の構成

本書の構成は以下の4部構成となっており、まず

「なぜ(why)」
「何を(what)」
「どのように(how)」

学ぶのか?という順番で、独学について53もの技法が展開されてゆきます。

そして、最後に第4部で国語、英語(外国語)、数学という3種類の独学テーマにおいて、その実践方法の一例が示される、といった構成です。

第1部 なぜ学ぶのかに立ち返ろう
第2部 何を学べばよいかを見つけよう
第3部 どのように学べばよいかを知ろう
第4部 独学の「土台」を作ろう

こうした編成にしている理由は、以下の記述からその真意を読み取ることができるでしょう。

親父さん:どれほど効果があるやり方も、持続可能でなければ何の意味もない。またろくでもないものを効率的に学んでも、余計害があるだけだ。つまり影響の大きさで言えば、「どのように学ぶか」よりも「何を学ぶか」が大事だし、「何を学ぶか」よりも「学び続けるか否か」の方が重大だという話だ。だから、この本も、そういう順番で書いてある。

引用元:読書猿『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』(ダイヤモンド社)

まったくもってその通りで、ボリュームといい、構成といい、一般的なハウツー本とは一線を画すということがよく分かります。

本の読み方には13種類もの技法が

さて、私が気になっていた読書の技法については、なんと13種類も紹介されていました!

技法34 知らずに使っている最速の読書法「転読(Flipping)」
技法35 必要なものだけを読み取る「掬読(Skimming)」
技法36 文献と対話する「問読(Q&A Reading)」
技法37 決まった時間で読み終える「限読(Timed Reading)」
技法38 読書技術の静かな革命「黙読(Silent Reading)」
技法39 身体に刻む読書の原初形態「音読(Reading Aloud)」
技法40 読み手を導く読書の手すり「指読(Pointing Reading)」
技法41 読むことを考えることに接続する「刻読(Marked Reading)」
技法42 精緻に読むことに引き込む読書の補助輪「段落要約(Paragraph Summarizing)」
技法43 難所を越えるための認知資源を調達する「筆写(Scribing)」
技法44 すべての読書技術で挑む精読の到達点「注釈(Annotating)」
技法45 思考訓練としての訳読「鈴木式6分割ノート」
技法46 逆境を乗り越える要約注釈術「レーニンノート」

このように、世の中に存在するいろいろな読み方を見える化してみると、日常的に活用しているものが少なくないことが分かります。

たとえば、技法34の「転読(Flipping)」。これはいわゆるパラパラ読みでして、書店で本の中身を知りたいときによく使っていますし、読み終わった本の「あの箇所を再読したいんだよな~」といった時にページを探す場合が当てはまります。

この「転読(Flipping)」、実際にやってみると、ほんの数秒しか費やしていなくても意外に目に留まる箇所があったり、探していた記述が見つかったりしませんか?これも読み方の技法の一つなんだ!と発見があること間違いなしです。

どうやって本を選ぶか?5つの技法

本の探し方についても5つの技法が紹介されていました。

技法23 第一のカンファレンスツール「事典」可能性としての博識
技法24 第二のカンファレンスツール「書誌」調査の達人からの贈り物
技法25 第三のカンファレンスツール「教科書」入門書・事典・書誌を兼ねた独学者の友
技法26 欲しい書物と出会う技術「書籍探索」
技法27 知の最前線に向かう「雑誌記事(論文)調査」

私は新聞の書評欄や書店での出会い、ランキング掲載情報などから新たな本を見つけることが多かったのですが、「書誌」という観点にはまったく考えが及んだことがなく、視界が開ける思いでした。

また、本書では図書館のリファレンスカウンターの活用についても言及しています。図書館を利用したことがあっても、リファレンスカウンターで相談したことがある方は少ないのではないでしょうか?

実は、私もありません。図書館司書の方の重要な業務であるにも関わらず、世間で活用されていないのは少し勿体ないことですよね。悩んでいる方ほど、図書館サービスを全力で活用することで最短ルートで目的の文献に出会うことができるかもしれませんね!

英語学習に当てはめると

最後に、英語学習についてです。

「いま自分がやっていることが、全くダメダメというわけではない」という安心を得ることができた記述を引用しましょう。

外国語学習の第一の骨法は、毎日続けることだ。これ以上に効果的で決定的なものはない。
多くの場合、我々は日常生活の中で、習得できるほどの濃度で外国語に接する機会を持たない。だからこそ意識して、そうした状況を作り続けなくてはならない。

引用元:読書猿『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』(ダイヤモンド社)

私は、NHKラジオの語学講座を活用しながら毎日学習を続けています。学習習慣はすでに身についたものの、「このままでよいのだろうか?」と不安になる日々を過ごしています。

わたし
わたし

もっと効率的なやり方があるんじゃないかな?

自分の記憶力が悪すぎるのかも…?

しかし、本書を読み通していま感じるのは、独学者はこうした不安に常に直面しながらも、さらなる前進に向けて学習プランを振り返り、改善し、進み続けるしかないということです。

このスタンスを前提として、本書で触れられている53の技法は有効活用する価値があるものです。私のように不安な思いを抱えながらも独学をやめられない、そんな方に本書をおすすめします。

関連書籍

  • 福井県立図書館『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』(講談社):さて、一見「?」が浮かぶ本書のタイトル。実は、皆さんが良くご存じの絵本はこのタイトルではありません!本書は、図書館司書のお仕事であるリファレンスカウンター業務を知ることができる一冊です。利用者の曖昧な記憶を元に目的の一冊を見つけだす手腕は、さすがの一言ですよね。

  • 今井むつみ『英語独習法』(岩波書店):認知科学の分野から英語などの外国語の最も効率的な習得方法を考える一冊。大ベストセラーとなりました。英語を学ぶすべての方の必読書です。本サイトでも別記事で紹介していますので、宜しければ併せてご参照ください。

最後までお読みいただき有り難うございました!


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