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【書評】人間の身体への理解を深める!放送大学教材の「人体の構造と機能」を読む

【書評】坂井建雄、岡田隆夫『人体の構造と機能〔改訂版〕: 人体の構造と機能及び疾病A(放送大学教材)』(放送大学教育振興会) 書評

放送大学に入学して半年…。公認心理師の取得に向けて取り組み始めたことは「心理学研究法」の紹介記事で書いたとおりですが、心理系の科目だけを受講するのも疲れてしまうかな?と思ってしまった私。

そこで、白羽の矢が立ったのが

  1. 心理と教育コースの科目ではない
  2. 公認心理師取得にあたって単位修得が必要

の両方を満たす科目です。それが、今回ご紹介する「人体の構造と機能ー人体の構造と機能及び疾病Aー('22)」!

この科目は、心の世界から少し離れて人間の身体に焦点を当てる看護系の科目です。高校の授業でいえば、「生物」と「化学」が近いですね。看護師資格の取得を目指す准看護師の方にとっては、看護師養成施設で卒業に必要とされる専門基礎分野の履修科目の1つとなっています。

それでは、「人体の構造と機能ー人体の構造と機能及び疾病Aー('22)」の印刷教材(テキスト)をご紹介します。

書籍は全国の書店などで購入できます。放送大学生でない方も、本科目の講義はBS放送などのテレビで視聴可能です。詳しい視聴方法は以下をご参照ください。

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本講座の基本情報

本講座「人体の構造と機能ー人体の構造と機能及び疾病Aー」は、放送大学で開講されている科目です。

  • 2022年度開設
  • 放送授業(テレビ配信)
  • 生活と福祉コースの導入科目

具体的なシラバスはこちらからご参照ください。

放送授業はテレビで公開されており、書籍はAmazonほか各書店でお買い求めいただけます。各地域におけるテキスト取扱書店は下記をご参照ください。

こんな方にオススメ

  • 看護師資格の取得を目指している方
  • 公認心理師資格の取得を目指している方
  • 人体の構造や機能に関心がある方

目次

本書の目次は下記のとおりです。全15回の放送授業に沿った章立てとなっております。

 1 人体の構造と機能を学ぶための基礎知識ー1
 2 人体の構造と機能を学ぶための基礎知識ー2
 3 消化と吸収
 4 血液
 5 呼吸
 6 心臓と血液の循環ー1
 7 心臓と血液の循環ー2
 8 尿の生成と体液の調節
 9 内臓機能の調節ー1
10 内臓機能の調節ー2
11 身体の支持と運動
12 神経系ー1
13 神経系ー2
14 生体の防御機構
15 生殖・発生と老化の仕組み

イラスト豊富な印刷教材と放送授業

さて、私が本科目に注目した理由は上述のとおり、以下の2点。

  1. 心理と教育コースの科目ではない
  2. 公認心理師取得にあたって単位修得が必要

ただ、受講の決め手はそれだけではなく、何より人体の世界に足を踏み出すことにワクワクしていたという事実があります。

何を隠そう、高校時代に文系に進んだ私は、理科系科目で生物を選択。当時、文系を選んだ高校生たちの多くは、理科系科目はほぼ生物か化学の2択だったと記憶しています。化学が異常なレベルで苦手だった私…、消去法で生物を選んだもののこれが大当たりで、学びを深めるうちに生物の面白さに目覚めてしまったのでした!

そんな経緯から、「人体の構造と機能ー人体の構造と機能及び疾病Aー」…。タイトルに興味を惹かれて受講することにしたのです。

本科目で特筆すべきは、放送授業での図解の多さです。解剖学の知見に根ざした人体の臓器がカラーで表示され、とても分かりやすい

ときには、説明内容を実演してくださることも。たとえば、「拡散」という性質があります。この性質を実際に行って見せてくれるのです。

 コップに水を入れ、そこに青インクを一滴垂らしてみよう。最初は垂らした部位が濃い青色に染まっているが、かき混ぜずに放っておいてもやがてコップの水全体が薄い青色に染まる(図2-8)。これは同じ分子どうし、あるいは粒子どうしはたがいに反発し合い、次第に離れていく性質があるからである。つまり、物質は溶液中では濃度の高いところから、濃度の低い方向へと移動する性質がある(拡散)。

引用元:坂井建雄、岡田隆夫『人体の構造と機能〔改訂版〕: 人体の構造と機能及び疾病A(放送大学教材)』(放送大学教育振興会)

やはり、綺麗な図解や実際の映像などといった、右脳を使った学習は記憶に残るのですよね。

講師の坂井建雄先生と岡田隆夫先生は、お二人ともあの順天堂大学で長年にわたって、医学生向けの解剖学および生理学の教育と研究に従事してきた方々です。さらに、医学生向けだけでなく、中学生向けのテキスト作成にも関わっていらっしゃいます。

専門家の育成だけでなく、基礎知識の普及に力を注いでいらっしゃるのでしょうね。だからこそ、難解な医学の世界を分かりやすく説明するよう工夫された講座が開講できたということなのでしょう。

生物に関する基礎知識はあった方が良い

とはいえ、放送授業だけでは知識の充足は不十分です。しかも、印刷教材は専門用語のオンパレード…! 初耳の単語もたくさんあり、覚えることが多くて挫折しそうになる方も少なくないことでしょう。

私は高校時代に生物の科目が好きだったので、本科目は難しいながらも関心を持って勉強を続けることができました。生物が苦手なのだけど公認心理師の資格を取得したいという方は、まずは中学校レベルのテキストを手に取ってみたり、高校生物の解説本を眺めてみるのがよいかもしれません。

特に、看護師資格の取得を目指す方は、公認心理師以上に人体に対する深い理解が求められるのではないかと思います。基礎から学び直す気持ちで気長に勉強を続けることも一つの選択肢といえるでしょう。

家族や自分の身体と向き合う際に基礎知識として活用

なお、私が関心を持って勉強を続けることができた理由の一つに、家族や自分の身体の状態を知りたかったから、というものがあります。

たとえば、次のような疑問に対するヒントが欲しかったのです。

  • 健康診断や人間ドックの数値の意味を知りたい
  • 家族が過去に罹患した病気について、細胞レベルで何が起こっていたのか知りたい
  • 現在、体調を崩している家族の身体の中がどのような状態なのか理解したい

もちろん、医学に関する情報はかつてに比べれば一般に広く公開されるようになりました。テレビ番組やブログなどなど。でも、難しい話になればなるほど、複雑な話になればなるほど、簡略化されてしまうという欠点があるでしょう。

また、罹患者の多い病気の情報ばかりが氾濫しがちですし、多くの方が知りたい治療法や予後についての情報に説明が割かれる比率が高いことでしょう。

そのことは決して悪いことではなく、むしろ歓迎すべきことでもあるのですが、私は人体の中身がどのような状態なのかが知りたかったのです。具体的な治療は信頼の置ける医者におまかせしているから、治療法や予後については医者に聞けば良いと考えていました。

私のような考えを持つ方には、本科目のように、医学の専門家が大学の授業で解説している内容を学ぶのが最適だと思います。

くしくも、本科目の履修期間中に愛犬が永眠しました。受講しながら、死期を早める根本原因となった副腎やホルモンの機能についての解説を見聞きして、「いま、こんな状態なのか」という驚きから「あの時、こんなことがおきていたんだ…」という悲しみに次第に変わっていくという体験をしました。

それでも、本科目で学んだことは自分や他の家族の今後にとって役立つだろうという確信は揺らぎません。

関連書籍

  • 田部眞哉『田部の生物基礎をはじめからていねいに(東進ブックス 名人の授業)』(ナガセ):東進ハイスクールの超人気講師による、生物の参考書です。本書に掲載された図は「巨大に、正確に、美しく」がモットー。高校の生物を学び直すのに良いでしょう。
  • 坂井建雄『人体の構造と機能[1] 解剖生理学 第11版(系統看護学講座(専門基礎分野))』(医学書院):書名を見て分かるように、放送大学の印刷教材では本書からの図解の引用が多数収録されています。解剖生理学を本格的に学びたい方はこちらもオススメです。

  • 坂井建雄(監修)『脳と神経のしくみ・はたらき ゆるっと事典』(永岡書店):おだやかな語り口調の坂井先生の説明は、本格的かつ安心感があります。こちらの書籍は、解剖学の第一人者である坂井先生とゆるキャラがコラボ…!超入門書シリーズ第4弾です。

  • 岡田隆夫『みるよむわかる生理学: ヒトの体はこんなにすごい』(医学書院):岡田先生の説明はとても分かりやすく、お茶目で親しみやすい雰囲気があります。こちらの書籍は、生理学への苦手意識を持つ方にとって良書となることでしょう。

最後までお読みいただき有り難うございました!


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