本ページにはPRが含まれます。

【書評】PayPalマフィアの起業論講義を書籍化!「ゼロ・トゥ・ワン」を読む

【書評】ピーター・ティール(著)、ブレイク・マスターズ(著)、瀧本哲史(序文)、関美和(翻訳)『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』(NHK出版) 書評

今回は、PayPal共同創業者としても有名なピーター・ティール氏の「ゼロ・トゥ・ワン(ZERO to ONE)」をご紹介します。

スポンサーリンク

こんな方におすすめ

  • これから起業したい方
  • 起業し、会社のこれからを考えている方
  • 安定した会社に所属し、一定の収入を得ている方
  • 新しいものを生み出す意欲あふれる研究者

ピーター・ティール氏とは?

前述のとおり、ピーター・ティール氏はPayPalを1998年に共同創業した起業家です。PayPalは2002年にeBayに15億ドルで売却されました。

ほかにもパランティアという、バラバラの情報ソースから特定のテーマを抽出するソフトウェア会社を立ち上げています。このパランティアでは、テロリストのネットワークと金融詐欺を探し出す仕組みを構築しました。

そして、なんと!オサマ・ビン・ラディン氏発見を助けた「キラーアプリ」としてフォーブス誌で紹介されたのです。

自身が創業した会社以外でも、ティール氏の影響力は絶大で、テスラ・モーターズ、Facebook、LinkedIn、スペースXなどなど、数多くのベンチャー企業に多額の投資をしています。

2012年にティール氏がスタンフォード大学で担当した起業の授業を元に、いくつか修正を施して本書は書籍化されました。

序文は瀧本哲史氏!

著書「僕は君たちに武器を配りたい」がビジネス書大賞を受賞した、瀧本哲史氏。この本は2011年の東日本大震災の直後に出版され、未来を担う若者に広く読まれました。私も20代の頃にこの本に出会い、大きな刺激を受けたことを覚えています。

エンジェル投資家としても著名な瀧本氏が書籍の推薦を執筆することは極めて稀なようで、それだけこの本には抗いがたい魅力があるということを意味します。

この序文は、本来の主旨に則り本文を読む前に目を通すにふさわしい文章ですが、全体を読み終えた後で再読するとなお一層本書でティール氏が伝えたかったことへの理解が進みます。

残念ながら、瀧本氏は2019年に早逝されました。もう新作は生まれないのだな、という悲しみがありますが、主著以外にこうした文章を残していらっしゃることを嬉しく思います。

マフィアの力学

僕が作った最初のチームはシリコンバレーで「ペイパル・マフィア」として知られるようになった。メンバーの多くがテクノロジー企業の立ち上げに参画したり投資したりして成功してきたからだ。

引用元:ピーター・ティール(著)、ブレイク・マスターズ(著)、瀧本哲史(序文)、関美和(翻訳)『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』(NHK出版)

さて、私が本書で最も心に響いた章は、10章「マフィアの力学」です。

ティール氏たち「ペイパル・マフィア」はいわゆる成功者と呼ぶことができますが、履歴書ベースで優秀な人材を選んだ結果として彼らが集結したのではありません。ティール氏は過去にニューヨークの弁護士事務所で働いていた時のことを回顧し、次のことに気付きます。

ピーター・<br>ティール氏
ピーター・
ティール氏

並外れて優秀な人材たちが働くオフィスでも、

メンバーの交流は少なく人間関係は希薄だ。

好きでもない相手とどうして一緒に働いているんだろう…?

日本よりも米国の方が職務範囲が明確ですし、こうしたドライな関係性が築かれるのはなんだか想像しやすいですよね。しかし、日本でも派遣労働や実力主義が浸透していくなかで、こうしたドライな人間関係に陥る職場は結構多いのではないでしょうか?

コロナ禍を経験し、オフィスのあり方を半ば強制的に見直さざるを得ない時代に突入しました。これまで以上にリモートでの勤務がどんどん広がっていくでしょうし、オフィスというのは物理的な場所から精神的な場所に進化していくのではないかと考えています。こう考えると、次の指摘が心にズシンと響くのです。

時間はいちばん大切な資産なのに、ずっと一緒にいたいと思えない人たちのためにそれを使うのはおかしい。職場にいる間に長続きする関係が作れないなら、時間の使い方を間違っている。投資に値しないということだ。

引用元:ピーター・ティール(著)、ブレイク・マスターズ(著)、瀧本哲史(序文)、関美和(翻訳)『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』(NHK出版)

コロナ禍でも転職市場で大きな縮小が見られないのは、こうした人間関係の大切さを再確認した結果なのかもしれません。

AIは人間から仕事を奪うか?

欧米では移民の流入により仕事が失われることを危惧する風潮があります。人間同士の仕事の奪い合いですね。

ティール氏は「人間同士は置き換えられる」と述べています。グローバリゼーションによって、自国よりも安い他国の労働力にシフトしていく。日本のIT業界でも状況は似ていて、アジア諸国にシステム開発作業を委託するオフショア開発がどんどん広がっています。

では、AIと人間でも仕事の奪い合いは起きるのでしょうか?

AIがチェスや囲碁のプロフェッショナルを打ち負かす事実は、もはや一般的になりました。私たちは自分の仕事をすべてAIに奪われてしまうのでしょうか?

これには以下の文章がヒントになりそうです。

僕たちが「ビッグデータ」に惹かれるのは、テクノロジーを特別視しているからだ。僕たちはコンピュータにちょっとしたことができたといっては感心するくせに、機械と人間の補完関係から生まれた偉業には目を向けない。人間の貢献が機械の神秘性を損なうからだ。

引用元:ピーター・ティール(著)、ブレイク・マスターズ(著)、瀧本哲史(序文)、関美和(翻訳)『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』(NHK出版)

自分の周りでは、ITやパソコンに馴染みのない方から技術信仰と呼べるようなお言葉を耳にすることがあります。「パソコンを使えば何でもできる!」といった感じですね。

しかし、ExcelにしろWordにしろパソコンが提供するのはツールであって、「どういう風に文章や表をまとめるか」という設計は人間が主体的・具体的に決めるのが大前提ですし、「表現された内容から何を読み解くか」も人間の仕事です。

こうした点が曖昧なままパソコンにお任せすると、期待していたものと全く異なるものが出来上がってしまうこともしばしば。私はシステム部門に所属しているのですが、ちゃんと相手の方の期待に応えられるよう、その都度たくさんヒアリングして内容を確認するようにしています。

ということで、人間の仕事がAIにすべて奪われてしまうかというと、その可能性は低いと思います。一部はAIにお任せするでしょうけれど、人間にしかできない仕事は残る。そして、人間ならではの仕事にとって大切なスキルを伸ばしていくのが、長い目で見て人生を豊かにしていくのかなと思います。

関連書籍

  • 瀧本哲史『僕は君たちに武器を配りたい』(講談社):表紙の装丁もさることながら、「『ゲリラ戦』のすすめ」というワードについ意識を奪われてしまう本書。震災後すぐに出版され、「年功序列が崩れた日本でどう生き抜くか?」を説いた本です。20年経っても役に立つ内容だと確認しています。

  • 瀧本哲史『2020年6月30日にまたここで会おう』(星海社):瀧本哲史氏の伝説の講義を書籍化。とても明るい語り口で、論理的にメッセージを伝えています。29歳以下を対象として2012年6月30日に行われたこの講義では「2020年6月30日にまたここで会おう」と締めくくられていることから、書名に採用されています。しかし、瀧本哲史さんは2019年8月10日、47歳という若さで夭逝。訃報を聞いた時は、本当に驚きました。とても残念でなりません。文字で残された文章は、後世にも残ります。日本の未来の若者をこれからも鼓舞し続けてほしいです。

  • 堀江貴文『ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく』(ダイヤモンド社):「働く」ということは、どういうことか?ゼロに小さなイチを足していく、という表現は堀江氏の他の書籍でも記述されており、著者の核となる概念なのだと思います。 新社会人や起業を目指す方に希望を与えてくれます。

最後までお読みいただき有り難うございました!


♪にほんブログ村のランキングに参加中♪

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村 本ブログへ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
PVアクセスランキング にほんブログ村
タイトルとURLをコピーしました