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【書評】ベストセラーの続編かつ遺作。変化に戸惑うあなたへ。「迷路の外には何がある?」を読む

【書評】スペンサー・ジョンソン(著)、門田美鈴(翻訳)『迷路の先には何がある?――「チーズはどこへ消えた?」その後の物語』(扶桑社) 書評

今回は、大ベストセラー『チーズはどこへ消えた?』の続編である『迷路の外には何がある?』をご紹介します。前書は日本で450万部のベストセラーではありましたが、そのぶん、読者から著者へは多くの疑問や感想が寄せられたようです。

なかでも、
なぜ、変化する時代に適応できるときもあれば、できないときもあるのか?
どうすれば、変化する世界にもっと素早く、容易に適応でき、もっと幸せになり、もっと成功できるのか?
といった視点のものから発せられた問いが多かったとのこと。

これらの問いに対する回答として世に出た作品が、続編の『迷路の外には何がある?』です。

残念ながら、著者のスペンサー・ジョンソン博士は出版前に膵臓がんで2017年7月に亡くなりました。よって、本書は著者の遺作ということになります。博士が我々に残した不朽の遺産について思い巡らしながら、読み進めていきましょう!

↓前書の書評はこちらです。

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こんな方にオススメ

  • 会社の経営に関わる方
  • 突然の変化に戸惑っている方
  • 安定した日々を過ごしている方
  • なすすべがなく困っている方

本書のあらすじ

物語のあらすじ

迷路で暮らす小人のヘムとホー。ある日突然、大好きなチーズが消えてしまいましたが、ホーはその変化に対処して新たなチーズを探しに出かけました。一方、迷路の中にとどまる選択をしたヘム。その後、どうなったのでしょうか…?

登場するキャラクター

前作のキャラクターも登場しますが、主にこの2人の小人を中心にして物語は展開していきます。

ヘム(Hem):小人。変化を認めず、いっそうまずいことになりやしないかと怯える。今回の物語の主人公。

ホープ(Hope):小人。空腹のヘムを救い、ヘムと行動を共にする。

↓前作の登場キャラクターはこちらをご参照ください。

構成

前書と同じく、物語の後にディスカッションを行うという構成になっています。本書タイトルにある『迷路の外には何がある?』のメインは「新しい物語 その後、起こったことは……」に書かれています。

『迷路の外には何がある?』について

まえがき

セミナー シカゴにて

もともとの物語 『チーズはどこへ消えた?』

新しい物語
その後、起こったことは……

ディスカッション

私の腫瘍への手紙

あとがき

謝辞

すべての人の中に存在しているヘムの物語だ

迷路にとどまり続けたヘム。その後、戸惑いや苛立ちを抱きながらも、かつてのチーズがもはや戻ってこないという事実を少しずつ受け入れていくようになります。仲間のホーもいない今、どうしたらよいのか? ホーは無事なのだろうか?

空腹から逃れられず窮地に陥ったヘムは、恐怖にかられながらもチーズの探索に出かけることにします。その直前に、次のようなメモ書きをしてポケットに忍ばせることにしました。

 わかっている事実
① 新しいチーズをみつけなければならない。
  さもなければ死ぬ。
② 迷路は危険なところで、暗がりや袋小路があちこちにある。
③ すべてはぼくしだいだ。自分で何とかしなければならない。

ヘムのこの認識は、まったくもって正しいことのように思えます。そう思えた時点で、私のなかにもヘムという小人が存在しているのでしょう。

しかしながら、物語を最後まで読み進めてゆくと、ヘムの考えが探索開始当初から大きく変わっていくことが分かります。ヘムの考えは正しいけれど、必ずしも事実とは限らないのです。この点を読み手が追体験していくことができるのが、本書の読みどころの一つであるといえるでしょう。

自分自身で枠を設定していることに気付く

物語の最後には、次のような文章が示されています。

迷路から抜け出す方法

あなたの信念に気づこう。
信念とは、あなたが真実だと信じる考えのことである。

あなたが考えたことすべてを信じてはいけない。
「事実」はあなたの物の見方にすぎないときもある。

役に立たないことは捨て去ろう。
古い荷物を持って新しい探索に乗り出すことはできない。

迷路の外に目を向けよう。
ありそうにないことも考慮してみようーー不可能なことも検討してみよう。

新しい信念を得よう。
あなたが考えを変えても、あなたはあなたである。

あなたが信じることに限界はない。
あなたは自分が考えるよりずっと多くのことをおこない、
経験し、楽しむことができる。

本書タイトルが示すとおり、ヘムたちは「迷路の外」の存在に思い至ります。迷路が存在するならその外側が存在することは当たり前なのだけれど、意外とこの事実に気付かず苦しむ人は多いのではないのでしょうか。

たとえば、「迷路」=日本、と言い換えるとどうでしょう。本書から得られるメッセージは人それぞれだとは思うのですが、私が思い浮かべたのは、母国を飛び出し海外へ挑戦しに行った人たちの存在です。

進学先や就職先を選ぶ際、なぜ国内の学校や企業のみを対象にするのだろう? 海外に出るには、語学が堪能でなければならないのだろうか? 本書を読み終えたいま、そのどれも真実ではないと感じます。

「日本を飛び出し海外に出ていくべきだ!」と主張するつもりはありませんが、「自分自身で枠を設定していることに気付く」ということが大切だという学びを得たのです。読み手を取り巻く状況に応じて、いろいろな発見がある一冊です。

関連書籍

  • スペンサー・ジョンソン(著)、門田美鈴(翻訳)『チーズはどこへ消えた?』(扶桑社):本書はこの前書を元にした続編です。記事を書きましたので、宜しければお読みください。

  • 守屋実『起業は意志が10割』(講談社):新しい事業を興したいと考えている方は、こちらの本も是非読みましょう。記事を書きましたので、宜しければお読みください。

最後までお読みいただき有り難うございました!


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