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【書評】起業のプロから学ぶ!新規事業の創出に向けて「起業は意志が10割」を読む

【書評】守屋実『起業は意志が10割』(講談社) 書評

新型コロナウィルスの蔓延により、時代が大きく転換しました。これまではあまり活用されてこなかった在宅勤務にオンラインミーティング…。特に事務職においては「同じ建物の同じフロアで一緒に仕事をする」という働き方がだんだんと過去のものになりつつあります。

働き方が変われば、世の中が必要と考えるサービスも変わるもの。外出が憚られる状況では、Uber Eatsなどの食事デリバリーサービスを活用して食事を配達してもらった方もいたことでしょう。Zoomというツールが、感染症の蔓延対策に一役買ったという評価もできそうです。

さて、そんな転換期だからこそ生まれた需要は、ウィズコロナ時代に突入したいまもまだ充足できていないのではないでしょうか。ここに商機があるはず…!今回は、新しいサービスを世の中に広めたいと思っている方に読んでいただきたい一冊をご紹介します。

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こんな方にオススメ

  • 起業を考えている
  • 新規事業創出の部署に異動になった
  • 新規事業の検討、社内調整を進めているがうまくいかない

著者の守屋実氏の経歴

さて、今回ご紹介する『起業は意志が10割』の著者の経歴をご紹介しましょう。著者の守屋氏は自他ともに認める「起業のプロ」

 少しだけ、僕の自己紹介をさせてほしい。コロナ禍の今こそ本書を書きたいと思った僕は、「起業のプロ」である。僕は自分の紹介をする時には、必ずこの数式を使うようにしている。

 <52=17+21+14>

 一体何の数字だろうと疑問に思っていただけただろうか。
 そう思っていただけたら狙い通り。嬉しい。この数式は、僕の職業人人生を一行のキャッチコピーとして表現したもので、こだわったポイントは、これ以上簡単にはできない最小の文字数、かつ簡単であること。
 解説すると、
「52」は、僕の年齢。2021年5月現在、52歳というわけだ。
「17」は、企業内起業の数。大企業の中で新規事業に関する何らかのプロジェクトにアサインされた回数だ。
「21」は、独立起業の数。多くの場合、設立間もないスタートアップへの参画機会を得ている。
 そして、「14」は週末起業の数。「17」でも「21」でもない、仲間内での何らかの企ての数だ。

つまり、僕は自分の人生をかけて起業を繰り返してきた、ということである。ただひたすらに、だ。

引用元:守屋実『起業は意志が10割』(講談社)

新卒でミスミ(現ミスミグループ)に入社。その後、新市場開発室で企業内起業を経験したのちエムアウトという起業専業企業で事業を起こし続け、独立した方です。約30年ものあいだ、ずっと起業し続けたなんて…すごすぎますよね!

なぜ今、この本を手に取ったか

さて、私はなぜ今この本を手に取ったのでしょうか。

それは、冒頭に述べたとおり時代が変わりつつあるのが一つ。そして、新しく生まれたスタートアップ企業だけでなく昔から存続してきた企業においても、新サービス検討の流れが強まってきたと感じていたというのが二つ目の理由です。

年功序列制度が崩壊した現代、転職市場が活発になり、企業は即戦力となる人材を常に求めています。ハンコなどかつてオフィスの必需品だった商品は電子化されました。今までの業態・サービスだけでは会社が生き残れないという危機感を持つ経営者は多いことでしょう。

かつては一般的だった「同じ建物の同じフロアで一緒に仕事をする」という働き方。都心のオフィスビルの空室率は、供給過剰の目安とされる5%を2年以上ものあいだ上回っています。世界的に見ても、オフィス空室率の上昇はこの先なかなか止まらなそうです。

以上のような現状を見るに、企業はこれまでの停滞を打ち破るような新商品・新サービスの創出に取り組む必要があるといえるでしょう。

実は、私が所属する会社でもこの流れが加速しています。まさに私自身も仕事でちょうど新しいことに取り組んでいる最中であり、「起業のプロ」の書籍を読みたいと思ったのが本書を手に取ったきっかけです。

読みながらドキリとさせられたのは以下の部分。「動く」ということを意識しながら読み進めていきます。

 本書で、僕は起業の成功と失敗の定義をこんなふうにしている。

  •  成功=着手しきれた時、失敗でも十分にやった時
  •  失敗=着手しなかった時、実行を見送り続けた時

 極端にいうと、「読み切った、勉強になった!」よりも、「読んでる途中から動かなきゃと飛び出し、読み終わってない」というほうが、本書における僕の「成功」だ。

引用元:守屋実『起業は意志が10割』(講談社)

ブログ運営と重なる点が

新しい分野の仕事を進めていくなかでぶち当たる壁。壁。壁。多くの人が避けられない壁とは理解しつつも、モヤモヤしてしまうものです。しかし、立ち止まるわけにはいかない、ということも重々承知している。

これは個人事業主として活動しているなら話が別なのかもしれないのですが、企業内で新しいことをしようとすると社内に立ちはだかる壁というものが確実に存在するのです。

不便であり不足、不利益といったマイナスの圧力である「不」に対して、著者はこう述べます。

 ただし、「不」の解決への向き合い方で一つだけ注意してほしいことがある。それは、「減った売り上げを穴埋めする」ために新規事業を作ろうとしてはいけない、ということだ。新型コロナウィルス蔓延の影響で多くの業界や企業が、厳しい局面に立たされている。その辛い心情は、僕も十分に理解しているつもりだ。
 しかし、自社の穴を「補填」するために、新たなことを始めようと考えると間違いが起こってしまう。「補填」するという時の主語は、「自社」になる。でも、本来事業でしたいことはお客様にとっての「不」の解決のはず。お客様に自社の穴を埋めてもらうのではなく、喜んでもらうことを最大の目的にしなければ事業の道がそれていく
 新規事業はそう簡単なものではない。ビジネスを作っていく中で、何回も窮地に立たされるので、強い信念がなければ絶対に続かない。目的をズラして、自分や消費者をごまかすようなことをすれば、どこかで息切れしてしまう。そして何よりも、そもそもそんな事業では、お客様の心をグッと摑むものなどできるわけがない。

引用元:守屋実『起業は意志が10割』(講談社)

社内で何かを提案する場合には、基本的に利益の見込みがなければ承認を得られません。これは事業継続の観点から至極当然のことではあるのですが、しかしながら既存事業の売り上げ低下を埋めるために新規事業を創出すべきではないという指摘です。

一種の企業病なのでしょうね…多くの会社がこのパラドックスから逃れられず、一般市民にとって残念ながら「誰得?」なサービスが生み出され続けているような気がします。

これは、ブログ運営にも通ずる点があると思います。マネタイズも重要ですが、アフィリエイトなどの広告が大量でブログ運営者の個性があまり感じられないブログやSNS告知…、私はあまり読む気になれないというのが本音です。このブログは細々と続けていますが、誰かの視野を広げられたらまずはそれで十分幸せだな、なんて思って運営しています。

カネも重要だが、まず意志を重視すべきだという本書の主張を噛みしめながら読み進めます。

7つの大罪

最後に、起業版7つの大罪をご紹介しましょう。

起業版7つの大罪とは、キリスト教における7つの大罪(人間を罪へと導く可能性のある、7つの感情や欲望)を題材に、事業を失敗へと導く可能性のある7つの姿勢や行動です。

第1の大罪 意志なき起業
第2の大罪 経験なき理屈
第3の大罪 顧客なき事業
第4の大罪 熱狂なき業務
第5の大罪 挑戦なき失敗
第6の大罪 利他なき利己
第7の大罪 自問なき他答

引用元:守屋実『起業は意志が10割』(講談社)

詳細は本書に譲るとして、注目すべきは「第7の大罪 自問なき他答」

 本書で僕は、自分の30年の起業経験の集大成としてまとめた経験値を、あなたの今後の取り組みに活かしてほしいと願っている。しかし、僕があなたでない以上、あなたにとって本書はあくまでも参考にしかならない。大事なことは、「他人の答えに頼らずに、自ら問い、自ら答え、自らおこなってほしい」ということだ。
 本書は僕の経験を、可能な限りシンプルにまとめて伝えている。シンプルにしているのは、わかりやすさを取ったからだ。一方、バッサリと枝葉をそぎ落としたことですべてを表現できていないというデメリットもある。だからこそ、あなた自身で考えることを欠かさないでほしいのだ。

引用元:守屋実『起業は意志が10割』(講談社)

起業のプロであってもすべての状況を見通せているわけではなく、最終的には「思いを形にしたい当人こそが自分の頭で考える必要がある」ということでしょう。人によっては突き放されたような印象を受けてしまうかもしれませんが、現在進行形で新しいことに取り組んでいる私としては、至極真っ当なご指摘であるように感じました。

答えは自分の中にある。成功(=着手しきれた時、失敗でも十分にやった時)を目指して一歩ずつ前進していきます!

関連書籍

  • 堀江貴文『ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく』(ダイヤモンド社):「働く」ということは、どういうことか?ゼロに小さなイチを足していく、という表現は堀江氏の他の書籍でも記述されており、著者の核となる概念なのだと思います。新社会人や起業を目指す方に希望を与えてくれます。

  • 山口絵理子『裸でも生きる ~25歳女性起業家の号泣戦記~』(講談社):マザーハウス山口さんの自伝的ベンチャー奮闘記。起業を志す女性にオススメです。Grit(やり抜く力)があれば、能力・知識は後付けにしても壁を乗り越えることができるのでしょう。続編『裸でも生きる2 Keep Walking 私は歩き続ける』(講談社)もあります。

  • 山川咲『幸せをつくるシゴト』(講談社):完全オーダーメイド・ウェディング会社を起業した、山川咲氏の生い立ちから起業に至るライフストーリー。物心つくまで五右衛門風呂で育った(!)など、同世代なのに衝撃的なエピソードがたくさんありました。お父様は元フジテレビのアナウンサー。自分の人生を自分で切り開く生き方、とても素敵だなと思います。起業したい若者や、企業にお勤めでキャリアに悩む方にオススメです。

最後までお読みいただき有り難うございました!


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