私たちはパンデミックによって、世界的にも大きく、急激な変化に直面しました。辛い日々に涙を流した方もいるでしょうし、この変化に乗じて成果を上げた方もいるかもしれません。
今回は、変化への適応という観点で書籍『チーズはどこへ消えた?(Who Moved My Cheese?)』をご紹介します。本書は長らくベストセラーとして愛されてきた書籍で、日本では2000年に出版されて以来、なんと450万部の売り上げを記録しています。
内容はとってもシンプル。ちょっとした物語を軸に、全体で100ページ足らずとコンパクトな厚さですが、中身から得られる教訓がたくさんあります。実際、IBMをはじめとして、アップル、メルセデス・ベンツなどといった大企業で研修教材として活用されることも多いようです。
よって、ビジネスパーソン向けの書籍として取り上げられることも多いのですが、事業上の変化だけでなく、日常生活におけるさまざまな変化を思い浮かべて読むのもよい一冊です。
それでは、さっそく概要から見ていきましょう!
こんな方にオススメ
- 会社の経営に関わる方
- 突然の変化に戸惑っている方
- 安定した日々を過ごしている方
- 断捨離を進めている方
本書のあらすじ
物語のあらすじ
2匹のネズミと2人の小人は「迷路」のなかに住んでおり、自分たちの特別な「チーズ」を見つけようと探し回っています。そうして、苦労のすえに探し求めた「チーズ」を手に入れた2匹と2人。しかし、突然その「チーズ」が姿を消してしまって――。
登場するキャラクター
この物語に登場するのは、単純な頭脳しか持たないネズミたち2匹と、複雑な思考を巡らす小人たち2人です。
スニッフ(Sniff):ネズミ。よく利く鼻でいち早く変化をかぎつける。
スカリー(Scurry):ネズミ。すぐさま行動を起こし、ひたすら突き進む。
ヘム(Hem):小人。変化を認めず、いっそうまずいことになりやしないかと怯える。
ホー(Haw):小人。もっといいことがあるに違いないと、うまく変化の波に乗ろうとする。
構成
本書タイトルにある物語『チーズはどこへ消えた?』を巡るお話は、「ある集まり シカゴで」の章から始まります。再会したかつてのクラスメートたちは、『チーズはどこへ消えた?』を題材にして「ディスカッション その夜」にて議論を交わす、という構成になっています。
ケネス・ブランチャード博士による裏話
ある集まり シカゴで
物語 チーズはどこへ消えた?
ディスカッション その夜
訳者あとがき
「迷路」とは?「チーズ」とは?
さて、ネズミも小人も自分にとって特別な「チーズ」を手に入れようと「迷路」を駆け回ります。少し読み進めれば分かるのですが、実は、このお話は単にネズミと小人の出来事を書き著した物語なのではありません。寓話として読み進める前提で書かれています。
寓話とは、「(fable)教訓または諷刺を含めたたとえ話。動物などを擬人化したものが多い。」(広辞苑[第7版]より引用)。この寓話に登場する「迷路」や「チーズ」は、読み手によってそれぞれ異なるものを指し示すのです。
「チーズ」とは何を指し示しているのでしょうか?「チーズ」とは、私たちが人生で求めるもの、すなわち「仕事」、「家族」、「財産」、「健康」、「精神的な安定」などの象徴だといわれています。
では、「迷路」とは何を指し示しているのでしょうか?「迷路」とは、「チーズ」を追い求める場所、すなわち「会社」、「地域社会」、「家庭」などの象徴といわれています。
人によっては、「チーズ」に「愛情」や「人間関係」を見いだす方がいるかもしれません。また、「迷路」に「学校」などを想像する方もいるかもしれませんね。
断捨離中の方を勇気づける一冊だ!
私自身は、現在絶賛断捨離中でして、身の回りのモノの整理を日々行っていることもあり、「チーズ」に「自分にとって本当に必要なモノ」を、「迷路」に「自分の人生」を思い浮かべながら読みました。
冒頭を読み始めた段階では、仕事に当てはめて読んでいくことになりそうだな~と思っていたのですが、意外や意外!この本で述べられていることは、不要となったモノや思考を手放す作業に似ているな、と感じられたのです。
結末には、下記の言葉が掲載されています。どうですか?ミニマリストへの道を目指す方に共感していただけるのではと思います。感じ方は人それぞれですが(^^;)
変化は起きる
チーズはつねにもっていかれ、消える
変化を予期せよ
チーズが消えることに備えよ
変化を探知せよ
つねにチーズの匂いをかいでいれば、古くなったのに気がつく
変化にすばやく適応せよ
古いチーズを早くあきらめれば
それだけ早く新しいチーズを楽しむことができる
変わろう
チーズと一緒に前進しよう
変化を楽しもう!
冒険を十分に味わい、新しいチーズの味を楽しもう!
進んですばやく変わり
再びそれを楽しもう
チーズはつねにもっていかれる
もし恐怖がなかったら、何をする?
物語をどう読み進めるかは読み手次第ですが、私自身の心に残ったのは「もし恐怖がなかったら」という言葉です。
変化の波に乗り始めた小人のホーが自問自答する場面で登場します。
「もし恐怖がなかったら、何をするだろう?」
引用元:スペンサー・ジョンソン(著)、門田美鈴(翻訳)『チーズはどこへ消えた?』(扶桑社)
(中略)
ホーはその暗い小路を見やり、恐怖を感じた。先に何があるのだろう? 何もないのか? それどころか、危険が待ちかまえているのではないか? ありとあらゆる恐ろしいことが頭に浮かんだ。死ぬほど怖かった。
それから、彼は苦笑した。恐怖のせいで悪いほうに考えるのだと思った。そこで、もし恐怖がなければすることをした。新しい方向に進んだのである。
暗い小路に飛びこんでいったとき、彼は笑みを浮かべていた。自分では気づいていなかったが、心を満たしてくれるものを見いだしたのだ。足の向くままに進みながら、先に何かがあることを確信していた。それが何かはっきりとはわからなかったが。
人は何か新しいことを始めようとするとき、つい足がすくんでしまうものです。特に、自分にとって大きな挑戦となることに対して、恐怖を感じてしまうことが多いのではないかと思います。
そんな時、「もし恐怖がなかったら、何をするだろう?」と考えるのは、自分の人生を充実させるヒントになりそうです。発想の転換ですよね。
そして、小人のホーは次のような気づきも得ます。
彼は苦笑した。私は、自分と自分の行動がばかばかしく思えるようになったとたん、変わりはじめたのだ。自分が変わるには、自らの愚かさをあざ笑うことだ。そうすれば見切りをつけ、前進することができるのだ。
引用元:スペンサー・ジョンソン(著)、門田美鈴(翻訳)『チーズはどこへ消えた?』(扶桑社)
私にも、「自らの愚かさをあざ笑」って新しいことを始めた経験があります。それは、英語の勉強です。語学力の無さに自信が無いにも関わらず、勉強をしていない浅はかさにばかばかしさを感じたというのが語学学習のきっかけの一つでした。
いまだ勉強中ですが、日々成長を感じています!
関連書籍
- スペンサー・ジョンソン(著)、門田美鈴(翻訳)『迷路の先には何がある?――「チーズはどこへ消えた?」その後の物語』(扶桑社):本書の続編です。
- 守屋実『起業は意志が10割』(講談社):新しい事業を興したいと考えている方は、こちらの本も是非読みましょう。記事を書きましたので、宜しければお読みください。
- やましたひでこ『1日5分からの断捨離―モノが減ると、時間が増える』(大和書房):断捨離を始めるならまずこの一冊をどうぞ。千里の道も一歩から。断捨離は毎日5分から進めていきましょう。記事にしましたので宜しければご覧ください。
最後までお読みいただき有り難うございました!
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