初めて読んだモキュメンタリー、雨穴さん著『変な家』にすっかりハマってしまった私。続けて読んだのは、背筋さん著『口に関するアンケート』です。こちらの本、なんとお値段550円(税抜)とかなりのお手頃価格! 文庫本より小さく63ページと短いので、どなたでも気軽に読める作品です。
本作『口に関するアンケート』の最大の推しポイントは、そんな気軽に読める本でありながらも構成が秀逸であること。「このホラーがすごい! 2025年版」で4位を受賞するなど、たしかな評価も得ています。
2026年には映画化もされました! このページ数で映画化するというのは凄い…、凄すぎる! 原作とは若干違うストーリー展開となっているそうなので、原作も映画も併せて楽しめそうです!
さて、それではさっそく見ていきましょう!(ネタバレはありません!)
こんな方にオススメ
- 読書にあまり慣れていない
- すぐに読み終わるホラー作品を探している
- 夏にぴったりな作品を読みたい
あらすじ
映画公式サイトより引用します。
「あの夜、何があったかお話ししますね」
心霊スポットとして有名な墓地の呪われた木についての噂を聞き、肝試しに出かけたある大学生たち。
しかし、翌日グループの一人が行方不明になってしまった。
その日を境に、彼らの身の回りに不可解なことが起きるようになり、次第に何かによって追い詰められていく…。
果たしてあの日、何が起きたのか?
あの日にまつわる証言に導かれて明らかになる、<おそろしい結末>とは――。
本作のお楽しみポイントを4つご紹介!
本作のお楽しみポイントをこれから説明していきます。それは…、以下の4点です!
- 音声データによる独白が繰り返される
- 文字色が変わる部分に注目
- 真相は本書タイトルにあり!
- 何度も読み返しながら読み進める夏向けホラー作品
1. 音声データによる独白が繰り返される
それでは、さっそく本作のお楽しみポイントをご紹介していきます。本作は、以下の独白から始まります。
【201908262310.m4a】
引用元:背筋『口に関するアンケート』(ポプラ社)
はじめまして。村井翔太といいます。よろしくお願いします。
とりあえずあの日のこと、全部話しますね。正直、気は進まないですけど。肝試しになんて行かなければ、杏は死ななかったと思いますから。
親しみやすい会話文でありながら、さっそく不穏な空気が…! このあとも、村井翔太という人物による独白が続けられたあと、総勢5人の大学生が同様に独白を繰り返すという構成になっています。
面白いのは、これが音声データとして記録されていること。作品を読み解くヒントにもなっています。
2. 文字色が変わる部分に注目!
独白が終わる頃になると、文字色が赤くなっていく場合とそうでない場合があることがわかります。なんだかとっても不気味ですよね。これは何を意味しているのでしょうか?
読み進めていくうちに、ハッと気づかされる人もいることでしょう。実は、文字色の変化には、恐ろしい事実が潜んでいるのです…。
3. 真相は本書タイトルにあり!
さきほどご紹介した本作冒頭の独白を見て分かるように、本作は肝試しで起きた出来事が物語の重要なテーマになっています。では、作品名の『口に関するアンケート』とはどういう意味なのか?
それは、本作の最後に「口に関するアンケート」が付記されているからです。そして、このアンケートに読者が答えることによって、この作品自身が完成するという秀逸な構成になっているのです! つまり、作品名が真相を指し示しているということです。
4. 何度も読み返しながら読み進める夏向けホラー作品
ホラー作品、かつ作品の舞台が肝試しということもあり、私は夏の暑い日の夜に読みました。ページ数は63ページで縦横のサイズは文庫本の半分くらいですから、作品としての文字数はそんなに多くないはずです。
それでも、自分の場合はだいたい40分くらいで読み終えました。思ったより時間がかかったのは、何度も読み返したからです(あと、読んでいてちょっと怖くなったから…)。
独白が繰り返されるなかで、「あれ? これまでの独白とちょっと辻褄が合わない気がするなぁ?」と思う場面が出てくると、何度も読み返していました。謎解きを楽しむために読み返す、ということです。
この辻褄の合わなさに、最初は芥川龍之介の『藪の中』という作品を思い出しました。『藪の中』という作品は、3人の登場人物の独白がどうも噛み合わない点に魅力が詰まっているので、もし関心がある方はこちらも読んでみてください!
関連書籍
- 雨穴『変な家』(飛鳥新社):雨穴さんによる間取りミステリー! モキュメンタリーに関心がある方は、こちらの作品かた手に取ってみるのも良いです。映画化もされました。記事を書きましたので、宜しければお読みください。
- 雨穴『変な家2 〜11の間取り図〜』(飛鳥新社):『変な家』第2弾! 間取りミステリーよ、再び…! 「第17回オリコン年間“本”ランキング2024 オリコン年間BOOKランキング」「日販2024年年間ベストセラー総合」「トーハン2024年年間ベストセラー総合」の3種類で第1位と、かなり売れていました。
- 芥川龍之介『藪の中・将軍』(KADOKAWA):芥川龍之介の作品は短編が多く、この作品もすぐ読み終えます。青空文庫でも読めます。芥川作品のなかでも現代語に近い文章表現なので、読書に不慣れな方でも読みやすいと思います。このブログでは、読書に馴染みのない方でも手に取りやすそうなKADOKAWA版をご案内しておきます。
- 背筋『穢れた聖地巡礼について』(KADOKAWA):『口に関するアンケート』『近畿地方のある場所について』を読んでその世界にハマった方はこちらも是非。背筋さんの近著です。
- 背筋『近畿地方のある場所について』『文庫版 近畿地方のある場所について』(KADOKAWA):「このホラーがすごい! 2024年版」で1位を受賞! モキュメンタリーという言葉がだいぶ浸透してきた頃に登場したのがこちら。同じタイトルでありながらも、単行本版と文庫本版で内容が異なるという点でも興味深い。
最後までお読みいただき有り難うございました!
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